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G・A作戦準備室

サークル重力天使のほめぱげ。主にダラダラとした告知とかキッチリとしたどうでも良い話。      発行する同人誌には18禁の物もありますが、ここは全年齢なのです。

FGO亜種特異点アガルタの女考察

コミケの告知もそうなんですが、ちょっと久々にこれは書かなきゃいけないだろ、って言うネタが出てきたので、
ンヶ月ぶりくらいにブログ書きます。
都合上、アガルタの女のネタバレしか無いので諸々ご理解の上でよろしくお願いします。













・「アガルタの女」その物語の構造について

多くのプレイヤーが理解している内容となるが、そもそもアガルタの女で描かれた舞台とは「理想郷」だ。
名前が上がっているだけで「アガルタ」「桃源郷」「不夜城」「イース」「エルドラド」「竜宮城」「ラピュタ」
これらは世界各地の伝承や創作の中で語られてきた「異世界」であるとか「理想郷」と言った場所になる。
そうした物語の数々は「ユートピア物」と言う文学の一つのジャンルであり、決して存在し得ない理想的な社会、夢物語の一種と言われている。
ユートピア文学は16世紀に生み出され、以後文学においては非常に大きな題材の一つとして扱われてきたが、20世紀に入ってからそうした理想的社会と言われていた社会主義国家や独裁国家が実際に生まれたが、現実的にはそれらが結局は夢物語であったと人々に理解され、「反ユートピア文学」ないしは「ディストピア文学」と言う物が出現し始める。
有名な所で「1984年」「すばらしき新世界」「華氏451度」辺りだろうか。最近の人には「PSYCHO-PASS」や「図書館戦争」、「ハーモニー」「こちら、幸福安心委員会です」あたりがピンと来ると思う。
これらディストピアとは「完全完璧で誰も彼もが十分に満足し、問題のない国家である」と言う謳い文句を掲げながらも、その影で致命的なまでの問題点を抱えている、と言うのが多くの作品で共通している。
理想国家の光と闇は、不夜城の大通りと路地裏程度に近接した場所に存在する。
アガルタの女で描かれたそれぞれの国家はいずれもが分かりやすく「男性が社会リソースのための贄」と言った共通点だが、それ以外にも破綻した部分があった。

若きケルトの戦士フェルグス・マック・ロイや主人公たちは各地を回り、数々のそうした理想の国家を見聞する。
この物語構造は実は既に存在している。それが「ガリバー旅行記」だ。
多くの人が知るガリバー旅行記とは、「旅人ガリバーが小人の国に訪れて巨人として扱われる冒険譚」と言った所だろう。
だが、それはガリバー旅行記全体の1/4に過ぎない。ガリバーは小人の国を訪れた後、「巨人の国」「科学技術の国(ここでラピュータも描かれている)」「官僚主義の国」を訪れる。

脱線となるが、アガルタの女をクリアした、と言う事は多くのプレイヤーはこれまで数々の特異点を旅してきたと思う。
その中には多くの国家や物語が存在し、物語られてきた。
例えば、帝政ローマ。例えばバビロニア。いずれも現代と遠く離れた過去であるが、戦がなければ華やかで活気があり、非常に優れた国家だと誰の目にも映っただろう。
だが、この二つの国家の発展の裏には奴隷制度があったことを多くの人は知っているはずだ。
ローマでは労働の大半を奴隷階級が賄うことで多くの文学、学問、芸術が発展した。
ギルガメッシュの時代であるウルク第1王朝の頃には楔文字による文学の発生と非常に広範囲に渡る交易が行われた事が確認されており、また国内も非常に活力に満ち溢れていたが、下級市民と呼ばれる存在により、重労働の数々によりこれらが支えられていた事も確認されている。
どちらも非常に豊かで当時では理想的な社会だったであろう。

ガリバー旅行記の話に戻ろう。
先程の4つの国家はいずれの国も理想国家とは名ばかりの問題ばかりの国がほとんどだと物語では描かれている。この描かれ方は発刊された18世紀イギリス国内で痛烈な社会風刺物として大きな話題となった。
小人の国は当時のカトリックとプロテスタントの諍い、巨人の国はイギリスで行われていた政治政策に対する皮肉、科学技術の国では科学技術の過度ののめり込みに対しての批判、官僚主義の国では貴族制に対する風刺をそれぞれ描いている。

さて、ここで気づいた方も多いだろう。
FGOではこれまで「奴隷」を描いた事があっただろうか? 仕事の奴隷であったDr.ロマンは置いておくとして、少なくともローマやバビロニアで奴隷に関して色濃く描かれたと言う記憶は残念ながら自分にはない。
だが、アガルタではいずれの国も「男性=奴隷」として明確に描かれている。
蔑ろにされ、搾取される存在を下品に、低俗に、最悪に描いてみせたのだ。
光の当たる側ではなく、闇を歩く側に目を向けた結果がこれだ。
ガリバー旅行記でガリバーは見聞した国の在り方や問題点をそれぞれの国家元首たちに尋ね、問答を行う。
多くはその問題点を「問題ではない」と目を背けてそれぞれの章は幕を閉じるのだが、一方で正義のぐだーずは「それはよくない!」と結局は武力解決を行う。
亜種特異点「アガルタ」はFGOにおけるガリバー旅行記の形を間違いなく取ったと言える。
また、ディストピア文学の代表作であり、男性性が搾取され続ける「家畜人ヤプー」にも非常に良く似ている。
だが、最後にはフェルグス自身の口から「男と女がいることで子供が生まれ、次につながる」と言う答えを出している。
すなわちアガルタの女と言うストーリーはFGO全体に対する批判であり、同時に賞賛の形を描いた物語なのだ。
この形を構想するのは多大なストレスが掛かったであろう事は想像に難しくない。


・この続きはまた後日更新予定
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