G・A作戦準備室

サークル重力天使のほめぱげ。主にダラダラとした告知とかキッチリとしたどうでも良い話。      発行する同人誌には18禁の物もありますが、ここは全年齢なのです。

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Rubber Edg/4

それは小さな小さな、けれど、凄く大切なお話。


その『せかい』にはたくさんの人がいる。
あしのはやい人
あたまのいい人
パンをつくる人
いえをつくる人


本当にたくさんの人がいる。
人々は、ある時はなかよくケーキを食べて。
ある時はささいな事から争って。
ある時は協力して行動して。
そうやって、その『せかい』は成り立っていた。


そうした『せかい』を作る人がいた。
それは『時計塔』と呼ばれる大きな塔。
その中では四匹の獣と十二人の小人、二人の大人が過ごしていた。
獣たちは一年で一回しか起きない。それを代わる代わるに四度繰返す。
小人達も一年で一回しか起きない。それを代わる代わるに繰返す。
けれど、大人だけは違った。
彼等は毎日を半分眠って、半分起きていた。
そうやって『せかい』は動いていた。


幼い頃に読んだ絵本……私がこの歳になっても覚えている、唯一の御伽噺だ。
けれど、この歳になってその物語を考える事になるとは思わなかった。
『せかい』と言う概念は案外、簡単なようで難しい。
仮にその『時計塔』の連中が運行しているのだとしたらば、『せかい』と言うのは随分と矮小な物だと思う。
その彼等の一人でも死んでしまえば、運行できないのではないか?
春が訪れないというのは余りにも寂しい。桜の花びらの無い卒業や入学式など想像も付かない。
けてしまった『せかい』と言うのは非常に面白く無いと思える。
が、最初から無ければ、それきりで、大した感慨も無いのではと思える。
北極圏や南極圏で春はおろか、夏らしい夏なんて無いだろうし、赤道直下では雪なんて降らないだろう。
そう言う場所、『最初からけている』場所ならばそうした物は抱かないのかもしれない。


やはり、こんな事を考えるというのはおかしいのかもしれないが、人間と言うのは最初からある物で何事も勘定しているのではと、思うに至る。酷く自己完結的であるが、物思いなんてそんな物だろうと、その日はそれ以降、思考をシャットアウトする。


アパートの鍵をスカートのポケットを探り、取り出す。
錆びた蝶番が軋む音を響かせ、鉄の門扉は主人の帰りを迎える。
そのまま、無言で戸を閉めて、私は鞄を放り出す。
いつ頃からだろうか。
私は『ただいま』と言葉を喪失してしまっていた。
言う相手がいないからか、その言葉を言う必要が無いからなのか。
打ちっ放しの壁に無言で問うてみた。
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