G・A作戦準備室

サークル重力天使のほめぱげ。主にダラダラとした告知とかキッチリとしたどうでも良い話。      発行する同人誌には18禁の物もありますが、ここは全年齢なのです。

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杜の奇跡での新刊プレビュー

と言う訳で序盤の部分を少し切り出してのっけておきますー。
ネタバレいやだーって人用に折り畳んでおきますね
彼女は人形だ。
その由来は日本で開発された画期的な自立知能……つまりはAIを搭載したロボットである。
全ては優れた音声出力プログラムの発表から始まった。
可憐な少女のようなその声はすぐさま注目された。
発売された日本国内だけでは収まらず、波は世界中に拡がる。
陰りを見せていた電子音楽の世界に光を与え、既存の音楽の形を大きく変えてしまった。
波紋は津波となり、濁流になり、世界中を埋め尽くす奔流になった。
そのプログラムが優れていたのは声の素晴らしさ以上に「歌わせる事ができる」点だった。
どんな低音も高音もそれは歌いこなして見せた。どんな要求にも応えて見せた。
つまり……プログラムであったから。
だが、様々な経緯を経てプログラムは「彼女」となった。
その「様々」に関してはこの際省略するが……言うならばファンが彼女を育てた。
人格を与えられ、彼女だけの歌が生まれた。世界中の誰もがソフトさえ購入すればプロデューサーになれる。
確かに色々と問題は生まれ、議論が交わされたし、彼女の生まれた国では音楽に対するルールが変わった。
しかしながら、それは決して悪い事などではなく、むしろ音楽の多様性や普及方法がガラリと変わるきっかけになった。
そして、私の元にもそうして生み出された少女がやって来た。
だがプログラムのように無粋なディスクロムじゃない。
可愛らしい人の形の姿でだ。

ミソラは先述したプログラムの他に様々な画期的な技術が融合した結果生み出された。
自立稼動、自己保存、他者共存、感情共感、エトセトラエトセトラ。
並び立てるのは簡単だがつまりは「同程度の人間の少女として生活できる」レベルに達している。
恥じらいもすれば、危険な物を避けるようにする。共存する人間に対して友愛の感情を表し、稼動のために電力や水を自分で補充でする。
欠点らしい欠点と言えば、若干廃熱に余裕が無い事であろうか。
そのために水分の摂取をしなくてはいけないとはマニュアルにもある。
日本人のセンスは多少なりとも理解しているつもりだが、これだけは良く分からない。
きっと国土的にも水の有り余っている日本ならではのジョークなのだろうと類推してみたが、だとしても効率が宜しくない。
いつかメーカーに問い合わせるつもりだが、それ以外は然したる問題も無いので私は目を瞑る事にした。

ミソラがやってきて水の問題以上の問題がまず浮上した。
いくら人形とて彼女は人間と同じレベル、時にはそれ以上の人格を与えられている。つまり。
「マスター、居候の身で本当に申し訳ないんですけれど……あの、服を買ってください!」
「ワッツ!? なんだって、服? それはつまり、私がローテーションで服を着回しているのが問題なのかい?」
ブンブンと首を振り彼女は否定する。
「あたしのです、お洋服! 本当に申し訳ないんですけれど、あたしも女の子なんですから、オシャレしたいんです」
年頃の少女と同じレベルの人格……当然と言えば当然だろう。しかしながら、私は言葉に詰まってしまう。
つまりは、その。
「えっと、私に買い物に付き合って欲しいと言う事か?」
ミソラは真剣その物と言った感じに肯定する。さて、困ったぞ。いくらなんでも年頃の少女の少女が服を買う店なんて分かる訳も無い。
いや、むしろ分かる同年代の男性がいるのならば見てみたい物だ。
「通信販売ではダメですか?」
「マスターは乙女心が分かってませんねー……それに、ちゃんと自分の目で選びたいんですよ」
そんなミソラのしぐさや表情がドキリと胸を打つ。待て待て、仮にも私は三十前の大人で、彼女は十五、六の少女を元にした人形で、これも全部プログラムで。
けれど、妙な気恥ずかしさが込み上げてしまう。否応無しに湧き上がる羞恥心だったが、咄嗟に妙案が思いつき、口に出す。
「確認するが……ミソラ、君は英語の発音が出来ないんだったね?」
「はい。発音の関係から日本語の発音のみに最適化されており、英語は単語レベルでは認識する事は出来ますが、会話は不可能です」
宜しい。ならばと私は続ける。
「良いですか。これから外出する時は日本語だけで話してください。分かったですか?」
ニコリと彼女は微笑み、その内容を認識する。
つまり、英語の話せない日本から来た遠縁の親戚と言う事にする。
あいも変わらずおかしな日本語で話す私にミソラはきちんと受け応えてくれる。
暫くはこれで大丈夫だけれど、いつかキチンと彼女に正しい日本語を教えてもらうなんて事もあるかもしれない。
とりあえずそんな事を考えながら私は出かける準備をする。
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