G・A作戦準備室

サークル重力天使のほめぱげ。主にダラダラとした告知とかキッチリとしたどうでも良い話。      発行する同人誌には18禁の物もありますが、ここは全年齢なのです。

浮島のトキワ・4

「なぜ戦うのか? 純粋にその場が好きだからと望んだ奴、守るべきクニやヒトと叫んだ奴、生き残るためだと刃を掲げた奴、それしか知らなかった奴、殺す事が悦楽の奴、征服しつくしたいからと前進した奴、そう言う運命だった。奪う事は罪か? 違う。善悪、罪罰、強弱、勝敗。そんな物は肯定して納得するための言葉だ。結局、そんな物はごまかし、まやかしだ。間違いなく、他者から過剰に奪い取る。傲慢だった。間違いなく。膨れ上がって慢心した結果、力ある物は怒りに震えた。結果が、これだ。俺も戦った。戦わなくちゃいけなかった。否定はしない。この手で他から過剰なまでに奪った。首を奪った。心の臓を貫いた。身を引き裂いた。体を轢き潰した。消し炭まで燃やした。それしか正しいと証明する手段がなかった。間違いなく殺したし、奪った」
苦しそうに、皺をつくって、本当に悔しそうに、哀しそうに、搾り出していた。

浮島のトキワ
ぼくはトキワ。
そう言うふうに呼ばれた。
ぼくは本当にいろんな事を知らなかった。だから教わった。覚えた。
おねえちゃんは言う。
「私に教えられる事は、それでもほんの少し。もっとトキワが知らなきゃいけない事はあるの」
沢山の事を覚えた。
この世界はぼくがこうしているよりもずっとずっと、ものすごく昔からあって、いろんな事があって、今も続いている。
木でいうと、ぼくは若葉で、ほんの先に静かにいるだけ。
「私も開いたばかりの葉っぱみたいなものだから、教えられるのはそれが限界。トキワが知ることが出来る事の手助けはこれからもできると思うけれど、やっぱり全部はムリだよ」
そういうおねえちゃんは少しだけ静かに笑う。
それがなんだか、ぼくを締め付ける。
分からない。おねえちゃんの事も分からないのに、世界を分かるのは無理なのかもしれない。
「婆さんはどうせまた寝てるんだろ?」
「はい、まだ暫くは」
「……」
緑色の人はおねえちゃんと違って、少し大きくて、真っ黒の服でいた。
うまく表す言葉がわからないけれど、ふしぎだ。
緑色の人は、おねえちゃんといっしょにいる事がおおくて、お姉ちゃんはぼくには見せない顔をする。
それがなんだかさびしい。
緑色の人はきらいじゃない。おねえちゃんも嫌いじゃない。
だけれど、ふたりが一緒にいると、ぼくはなんだか変なことになる。熱くなる。

トキワの中で感情が芽生えている。
最初から、それがあるのだろうと言うのは分かっていた。
彼が来た事で加速している。良い事なのか、悪い事なのか分からない。
トキワはそれが何なのか、きっと理解できず、苦しんでいる。
けれども、私にそれを教えてあげる事はできない。それが悔しい。
キチンと説明する力が、私にはない。それがもどかしい。
不満? 大きく分類するならそう言う物をあの子が抱いているのは理解できる、その不満が何なのか、ワカラナイ。

緑の人は、ぼくと話すとき、目の高さを合わせてくる。話しやすい。
「トキワ、少し外にでよう」
「あ、あの……」
おねえちゃんが、言う。止める。
「……まだここから出したらまずいか?」
「何が起こるか、分かりませんし、どういう影響があるか分からないですよ」
「……少しの間だ。何かあれば何とかする」
緑色の人にかつがれる。あたたかい。この人も、あたたかい。なんだか、きもちがいい。
そうして、ぼくは、外を、見た。
空と海と星が、そこにあった。世界が、そこにあった。
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