けれど、そんなに大昔と言うほどの出来事じゃない。
そんな折だった。
「おや、来てたのかい、疫病神」
「心外だな……ちょっと立ち寄っただけでそんな風に言われちまうなんて」
しわくちゃの顔、けれど、背筋はシャンとしたご老体の女。
「鯨ばあさん、草ないか?」
直後、後頭部に衝撃が走った。
『浮島のトキワ』
しわくちゃの人。
おねえちゃんも緑色の人も親しげに話しかける。
そうだ、この人は
「名を与えたのかい……」
「はい、トキワと」
それはぼくの名前だ。なんだかくすぐったい。
しわくちゃの人は、そのしわしわの手でぼくの頭を軽くなでて、やっぱりしわくちゃの顔をもっとくしゃっとしている。おねえちゃんにされた時みたいに、暖かくなる。
「あたしの名は……そうさね、鯨おばばとでも呼べば良いさ、トキワ」
「くじらおばば……おばばさま?」
そう呟くと満足したのだろうか。テーブルに付き、喋りだす。
「さて……アンタ、トキワにこの島の事は?」
おねえちゃんは軽く首を振り、それを見ておばばさまは一言、そうかいと言った。
薄々は気付いていた。ここは、島だけれど島じゃない。
「この島の事を話す前にね、一つだけ教えてあげなきゃならない……」
「……外で星でも眺めてくる」
「はい、お気を付けて」
緑色の人はそう言って部屋の外へと消えた。
それを確認して、おばばさまは、静かに言葉を紡ぎ始めた。
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