G・A作戦準備室

サークル重力天使のほめぱげ。主にダラダラとした告知とかキッチリとしたどうでも良い話。      発行する同人誌には18禁の物もありますが、ここは全年齢なのです。

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邂逅 御使いの下僕~桜の舞う教会にて~

人柄の良さそうな老神父。どれほどの間、伸ばしたのか長いヒゲに暖かそうな笑みを浮かべている。
首から提げた、簡素ながらもはっきりとその存在を表す純銀の十字架は彼自身を表すパーソナルマークとも言えた。
見るからに異国の人である、その人は街の小さくも暖かな教会を任された神父であった。同時に、彼は多くの子供達の父親であった。
時には厳格に。
時には優しく。
身寄りの無い子供達の父親として、彼は常日頃から口癖のように言っていた。
『もしかしたら、神様なんていないかもしれません。けれど、経験した事は神様が教えてくれるものよりも大切な事です』


ある日、一台の黒塗りの車が教会の前に止まる。
運転席からは白髪の混じり始めた男が。
助席からは皺の目立ち始めた女が。
いずれも、険しそうな表情を崩さず、落ち着いた色の正装で。
後部座席のドアを男が開ける。
車内から腕を引っ張られて少女が降り立つ。
品の良さそうな帽子で隠れた表情は見る事はできない。
だが、それは決して良い物ではないだろう。
少女は首を振る。その仕草に眉間の皺を寄せた女。
もう後一歩と言う所で、振り上げた手が力任せに少女の頬を撃っていたのは明白だ。
それを片手で男が握り、首を振る。その表情は、何もかもを諦めたかのような、酷く哀しい物だった。
この教会では、見慣れた光景であった。
桜の花の舞う、春の。当たり前の光景であった。


少女は思う。
痣の浮き出た細い腕を抱きながら、なんでこんなにも痛い思いをしなくてはいけないかと。
人よりも自らの視野が広く、知識の吸収が速い事を自覚はしていた。
けれど、そうだとしても。どうしてこんな思いをしなくてはいけないのかと。
ただ、心安らかに暮らしたいだけだと言うのに。
不意に、彼女に影が差す。
しかしながら、それは悪意を持たず、当たり前のように正面に立ってこう言った。
「こんにちわ」
その暖かで柔らかな声に少女は、身を震わせる。
何故だか震える足で、逃げようと試みたが、男の次の言葉に、少女は逃げる事を辞める。
「もう、大丈夫だよ」
思い切って、彼女はその声の主に問う。
もう痛い思いをしなくて良いのかと。
声の主は一言、大丈夫だよと。
続けて問う少女。
もう怖い思いをしなくて良いのかと。
大丈夫だよ。
「もう、君は一人ではないよ。だから大丈夫だよ」


一陣の風が吹き荒ぶ。
それは柔らかな春の風。
けれど、少女は飛ばされてしまわないようにと頭に載せた帽子とスカートの裾を抑えるので精一杯だった。
遂に飛ばされてしまった少女の帽子。
そこに隠れていた怯える少女の表情。


美しいの少女


「君の名前は?」
帽子で見えなかったから初めて見上げたその男。
柔らかな表情に全てを受け止めてくれそうな声。
見上げれば少し高い所から腕を伸ばしていた。
少女は躊躇しながらも自らの名前を言う。



神父は、その真っ直ぐな視線で見上げる少女に確かな物を感じていた。
やがて伸ばした手を握り返す少女の手の平が、余りにも小さく、華奢ながらもしっかりとした力を持っている事で確信した。
君は強い子だと。
決して言葉にはしなかったが、神父はその小さくも儚げな少女に確かな強さを感じていた。
だから、もう一度言った。
「大丈夫だよ」


Flip・Flop


ここ最近、妙に夢を見る。
それはまるで小説のようで。
けれど、決して続きが語れることの無い、切り取られたページのような一ページきりの情景。
この前は少年少女の戦争の悲劇。
先日は夢物語のエンターテイメント。
そして、今日はまるで御伽噺の中の少女の夢。
まるで……


自分そっくりな少女の物語


妙に嫌な違和感を感じつつも、やはり、連日のように枕元のノートにその夢を克明に記す。
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